『9歳の壁』の正体は『抽象的思考』の訓練不足だった!

皆さんは、「9歳の壁」という言葉を耳にしたことはありますか。

それまで、普通に勉強が出来ていた子が、小学3~4年生で急に勉強ができなくなる現象です。

一般的には、分数や小数の計算が出てきて、算数が難しくなるからだと言われており、また、その時点で親が教えられる算数のレベルを超えてしまうことが増えてくるとも言われています。

確かに、事象としてはそう見えます。

しかし、本当のところは、もっと深刻です。

小学校1~2年生の算数は具体的なもので計算する問題ですが、小学校3年生~4年生になると分数や小数の『抽象的な概念』を具体的なものに置き換えて考えるプロセスが要求されます。

実は、親や教師が一番困るのが、この、『抽象的思考』の『具体化』なのです。

例えば、「0.5」と「1/2」は、共に「半分」であることを身近な物を使って説明する必要がありますが、これが分からないと先に進みません。

算数は積み上げ式の教科ですから、どこかでつまずくと、わからないことがどんどん増えてしまいます。

これが、『9歳の壁』の正体です。

もう一つの要因としては、自分自身を『客観視』する力が育つことが考えられます。

小学校低学年の子どもは、親が褒めたり励ましたりする言葉を素直に受け取ってがんばることができます。

しかし、9歳くらいから、自分と周囲を客観的に見比べて、劣等感をもったり、自信を失ったりしやすくなります。上で述べたように学習も難しくなり、「自分は頭が良くない」などと悲観してしまうこともあります。

『抽象的思考』や『客観視』する力は、どちらも大人になるうえで欠かせませんので、実は、『9歳の壁』は成長の過程で必要なことなのです。そのために、親としては、頭ごなしに叱ったり、過度に心配したりせず、冷静にお子さんの成長を見守ってください。

ただし、この時期に絶対にしてはならないことがあります。

それは、『思考力を伴わない学習』です。

全てとは言いませんが、小学生が習い事の一環として通っている塾では、このような学習が当たり前のように行われています。このような塾から転塾してくる生徒の母親は、皆さん口を揃えたかのように同じ悩みを持っています。

・計算や漢字は良くできるが、文章題になると全く解けない。
・作文や読解問題、特に『心情』を問われる問題が出来ない。

英会話塾で英検3級を取っている小学生でも、状況は悲惨です。

・英会話は多少できるが、単語が書けない。
中学校に入ったら、英語で高得点が全く取れない。

これらの教育には共通した欠点があります。

それは、「ひとつの答え」を急いで求めようとするような学習方法です。
大人から正しい解き方の説明をしてもらって、できるだけ素早く正確にマスターしようとする学習は、
『抽象的思考』につながりにくいどころか、それを拒絶するような側面があります。

学習の理想形は、『一を聞いて十を知る』ことです。

『一つの知識』を抽象的な形式で記憶の整理をしておくと、『他の物事』にも応用できるということです。

専門的には、『メタ情報』とも言われる情報の記憶ですが、これができるかどうかで子どもの能力は大きく差が付きます。

私たちは、このような『脳の特性』を理解しながら、子どもたちの個性に合わせた指導をしています。

稲門個別アカデミー